手術当日

ついにやってきた手術の日。

夜も程よく眠れて体調は万全。朝は6時に起こされて検温、36.8度。やや高め。7時から飲水禁止なので、それまでにゴクゴク飲んでおく。


手術はお昼頃と聞いているので、それまで悶々と過ごす。断頭台に送られる前の囚人の気持ち…。でも夫も両親も、励ましメールを送ってくれて、嬉しかった。

看護学部の実習生がやってきて、今日は手術も見学するとのこと。ベッドでできるリハビリを調べるので、一緒にやりましょうね!と言ってくれた。この病院ではリハビリ室での運動はしないみたいなので、すごくありがたい。


10:50頃、看護師さんから11:15に手術室へ入りますとの連絡があった。お手洗いを済ませ、夫に最後のメールを送ってエールを受け取る。術着に着替え、弾性ストッキングを履く。結構難儀して、結局履かせてもらった。


いよいよ手術室へ。手術部のドアに入って帽子を被ると、麻酔医から名前等の確認があり、中へ案内された。古い建物なので、各手術室が並ぶ廊下には物がいっぱい置いてあって雑然としている。なんか想像と違う…

手術室も割と狭い。ホームページで見たような最新の設備は、もっと難しい手術に使うのだろうな。

執刀は術前説明をしてくれた先生がするみたい。ここの先生は腕は確かだと聞いているので、安心してお任せする。


手術台に寝かされる。通販の箱に入っている、大きな空気袋を温めたようなものに沈む感じ。結構心地よい。色々線を繋がれて、点滴開始。手術室の看護師さんはテキパキしてるなぁと感心していると、「そろそろ麻酔入りますよ。ちょっと痛くなるけど、麻酔の薬のせいですからねー」と麻酔医が告げた。実習生がずっと手を握っていてくれる。

「あ、痛いかも、いたたた…」と言っていると、もう意識がなくなった。


「終わりましたよー」と呼ばれて肩を叩かれて意識を取り戻した。何だかめちゃくちゃスッキリ爽快な目覚め。あー、終わったんだーとホッとする。

乳腺の先生に「リンパは?」と聞くと、2個中2個陽性だったと。残念、じゃあ廓清したんだな。

形成の先生も「終わりましたからねー」と。

「よく頑張りましたね」と実習生も手をさすってくれた。なぜか涙腺が緩んでしまい、「鼻が詰まってるみたいです!」と実習生に心配されて、慌てて涙を引っ込めた。

午後5時半に手術終了、病室へ帰る。


病室のベッドに寝かされてウトウトとまどろむ。まどろみながら、またしても涙が溢れてくるのを止められない。自分が可哀想になったんだと思う。手術も終わってしまったし、もう以前の五体満足な自分ではない。思う存分、人知れず静かに泣いた。

午後8時過ぎ、少し水を飲んでもいいと許可が下りた。メールを送る気力が出てきて、夫と両親に短い文で送った。術後に夫が両親に電話してくれていたようで、安心して本格的に眠る。身動きするとさすがに少し痛むけれど、心配していたほど痛くないので、よく眠れた方だと思う。

夜中、ドレーンの排液を確認しにきた看護師さん達が「結構出てるね…」とヒソヒソ声で言っていた。へえ、そうなんだ…と思いつつも眠り続けた。