乳腺クリニック初診

夫にしこりがあることを打ち明けた翌日、乳腺クリニックに予約を入れて診察してもらった。朝イチで電話したけど、予約が取れたのは夕方。結構混んでるものなんだなぁ。

着替えて待合室で座っていると流石に不安だったけど、信頼できそうな先生で少し和らぐ。

まずは触診。首筋、脇などに触れ、続いて胸。「あー、確かにしこりがあるね」と先生。ノギスのようなもので大きさを計測、2cmくらいとのこと。もう一度脇に触れて、別室でマンモグラフィとエコーを受けるよう指示された。

懸案のマンモグラフィ…。知り合いに痛いんだよ〜と散々脅されて、一度も受けてこなかったけど、ついに年貢の納め時。検査技師さんに「初めてなんですけど、痛いんですよね?」と恐る恐る聞いたら、「痛いです!」と即答(笑)。でもできるだけ力を抜くと大丈夫ですよ、と教えてくれた。アクリル板みたいな硬い機械で挟まれると思って、戦々恐々としていたら、思ったより柔らかい感触。ギリギリ我慢できる痛さで済んだ。

 

続いてエコー検査。こちらも初めてだけど、痛くないのでリラックス。胸に塗るジェルが温かくて、思わず「ほわぁ〜」と声が出そうに…(笑)。20〜30分くらいかけて、みっちり検査。ちらっと画面を見たら、しこりらしきものが円く赤っぽく映っている。しこりの上で機械を何度もプニプニ上下させていた。硬さを見ているのだろうか?

 

2つの検査が終わり、いよいよ先生の画像診断。

しかし、素人には全くわからない。マンモグラフィは「この辺り、モヤっと白いのがあるでしょ」と言われ、何となく見える気もしたけど、エコーはさっぱり。

「ここに黒っぽいのがあるけど…んー、画像だけでは判断しかねるので、もう少し詳しく検査します」と先生。ボールペンの芯くらいの針を刺して、しこりの一部分を採って検査するとのこと。痛そう…そして何だか大ごとになってきた?局所麻酔するから痛くないですよ、と言ってくれたけれど。

 

血液採取の後、看護士さんから検査の説明を受ける。針生検と言うらしい。そして何と3万円くらいかかると…!検査器が高額なんだそう。同意書に署名して、次の日に予約を取って帰宅。

 

痛そうで、しかも高額な検査という急転直下の展開。その夜はもちろん「針生検」で検索しまくり。やっぱり痛いみたいだ。細い針でする細胞診というのもあるらしいけど、針生検なんだなぁ…とぼんやり思ったが、年齢的にしっかり検査するのだろうなと考えを改める。

検査のきっかけ

48歳になる直前、左胸にしこりがあることに気づいた。

左胸の外側が痒いな、と思って、何気なくポリポリ掻くと、指先に違和感を覚えた。ん?と思ってよく触ってみたら、結構はっきりとしたしこりを感じる。コロコロと結構動く。しばらく触ってみたが、まあ大丈夫かな、と様子見することにした。そのうち萎むかもしれないし…

 

しこり感知から1週間程、たまに左胸を触ってみる。お風呂で石鹸をつけると、如実にわかる。誕生日も過ぎて、寝る前に夫に「胸にしこりっぽいのがある」と打ち明けた。しばらく言うつもりはなかったんだけど、やっぱり心のどこかで気になっていたんだと思う。試しに触ってもらったら、夫もすぐ気づいた。

「明日病院に行って!」と言われ、渋々承知する私…だって多分良性のしこりだし、何よりマンモグラフィが怖い。痛いというのを聞いて、受けたことがない。でも良性だと診断されたら安心できるでしょ、と諭され、次の日に乳腺クリニックに行くことにした。

乳がんになっちゃいました。

今日、乳がんの診断を受けました。まだ実感ありません。

これからどんな日々が、治療が待っているのか、わからないことだらけ。

気持ちを落ち着ける為に、記録を残しておきたいと思います。

 

進行度はⅡAかな、とのこと。今の所見では、リンパ節への移転はないだろうということだそうです。大きさは2.6cm。金曜日に詳しい検査、CTと骨シンチグラフィーというのを受けてください、と言われました。

 

正直なところ、本当にがんなの?という気持ち。体調もいいし、そんなに変わった感じもない。だけど、体調がよくないと自分でわかるくらいなら、相当進行してるんだろうなと想像します。だから、今の段階で診断してもらえてよかった。…と思うしかない。

 

今の心配ごとは、胸がなくなるの?抗がん剤で毛が抜けるの?主にこの2つ。私は子供もいないし、仕事もしていないので、その点ではお気楽なんだけど、とある武道に熱中していて、その稽古がどうなるんだろうという、これまたお気楽な不安もある。

 

乳がんは15人にひとりが罹患する、珍しくもない病気だそうだし、手術も受けられる。ちょっと辛そうだけど薬や治療法もある。悪いデキモノができたという以上の深刻さが、今のところありません。こんな能天気でいいのかしら…。日が経つにつれて、段々と怖くなっていくのかな。

 

とりあえずは金曜日、検査結果を踏まえて、今後の治療方針を決めるそうです。それまでは普通に過ごします。

検査の結果…

お盆が明けた月曜日、いよいよ検査結果を聞きにクリニックへ。

針生検から2週間ほどの期間があったけど、「良性っぽいし大丈夫!」と、割と呑気に暮らしていました。夫も仕事だし、稽古に励む日々。だけど心のどこかに怯えがある。普段なら、道場に入ると他のことは全く頭から消えてしまうのだけど、「もしかしたら、ここには当分来られなくなるんだろうか…」と、ふと考えている。心の乱れが如実に出て、稽古内容は当然あまり良くない。

寝る前のネットタイムも、やっぱり乳がんの情報を見てしまう。それと同時に、良性の場合の情報を見て、安心感を求めたり…少々の恐れと楽観が入り乱れる2週間でした。

 

診察室に呼ばれて椅子に座った直後。

「あのね〜、検査で悪いのが出ちゃってね〜」と先生。え。それって…?

「診断としては、乳がんということになります。」

…言葉を失う私。覚悟がなかった訳じゃないけど、まさかね、と今まで自分に言い聞かせてきた。言い方は変だけど、悪い籤を引いた気分だった。

 

先生が続けて用紙に記入して説明してくれる。しこりの大きさは2.6cm。初めてのエコーの時よりも大きく診断された。今の見立てでは、ステージⅡaとのこと。一応初期段階ではあるらしい。

乳がんのタイプには種類があるらしく、私はルミナールa という、日本人の乳がん患者の6〜7割を占めるタイプだそうで、ここで私は何だか安堵した。ということは、治療法は既に確立されていて、今すぐ命が脅かされるということではないんだ、と…だって、もしこのタイプが本当に危険なものであれば、乳がん患者の死亡率はずっと高い筈だし。

 

「治りますよね?」と思わず先生に聞いていた。

先生も「予後が一番いいタイプだからね」と答えてくださった。がん細胞が一番おとなしいタイプらしい。ますます楽観的になる私。これは部分切除するだけでOKなのでは…?薬とかどうするのかはわからないけど、そこまで大ごとにならずに済みそう…と、無知なことを考えていました。

 

更に詳しく検査するので、提携先の病院で、CTと骨シンチグラフィを受けてくるよう指示されました。看護士さんが予約を取ってくれている間に、夫に乳がんであることをLINEで報告。夫は「一緒に戦おう」と返信してくれた。嬉しかった。

 

クリニックを出て、午後から稽古。その前に、公園でお昼を食べながら、先生から渡された「乳がんの治療について」という小冊子を読む。遂に乳がん患者になってしまったんだなぁ…と妙に冷静だった。ショックで食事も喉を通らないかと思ったけど、結構普通に食べられてしまった。本当に図太いなぁと自分でも呆れてしまう。

だけど、公園内にある小さな神社でお祈りをした。無事に手術が終わって、早く今のような生活ができますように、と。